クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
1ヶ月ぶりに会える。突然行ったらびっくりするかなぁ・・・
平日だけど、夜なら少しくらいの時間は大丈夫かも・・・
忙しそうだったら、少しだけ話して帰ればいいしね。

事務所の方に向かって歩いていると、入り口から人が出て来た。
あっ!広大さんだ!
「広大・・・」
名前を呼ぼうとした時、後ろから1人の女性が出て来た。

あれは・・・
事務所で見た写真で、広大さんの横で、腕を組んでいた綺麗な人。
桜子さんだ!
その瞬間、桜子さんが広大さんに抱きついた。

もしかして、私に会えなかったのは、桜子さんの事があったから・・・
前に家に行った時に会ってからずっと・・・
私はすぐにその場を離れ、駅に向かった。

なんだ・・・会えなかったのは、仕事が忙しかったからじゃないんだ。
桜子さんの事、私に言えなかったんだね。
きっと、泣きじゃくるもん。
自然に気持ちが離れるの、待とうとしているのかな・・・
桜子さんは、広大さんの仕事を理解して、良き相談者にもなれる。
公私ともに、支え合える。
私は・・・なんの力にもなれない。
こんな苦しい思いするなら・・・広大さんも早く、桜子さんと一緒に・・・
私から伝えないと・・・

家に帰ると、広大さんからメールが入った。
『お疲れ様。遅い時間だけど、電話出来る?』
丁度良かった。心が揺らぐ前に、言ってしまおう。
胸が苦しく、泣きそうになる。
深呼吸して、直ぐに電話した。
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