クールな上司は捜し人〜甘愛を運ぶ幼き想い出
「お、お母さん、違うわよ。明日、広大さんとそっちに行きたいの。それでね・・・」
お母さんには正直に話をして、自分の気持ちも伝えた。
「分かったわよ。碧の人生だし、自分で決めたんだから、責任持って突き進みなさい」
「お母さん・・・ありがとう。でも、お父さんが」
「大丈夫よ!あの人のことは私に任せなさい!じゃあ、明日、何時頃に来る?」
「お昼前になると思う。また連絡するね」
「うん!広大さん、写真でしか見てないから、楽しみ!そうだ!美容院行こうかな?」
「お母さん・・・普通でいいから。ありがとう」
「じゃあ、明日待ってるね」
「うん、じゃあ」
電話を切ると、お母さんの優しさに胸が熱くなる。
いつか私にも子供が出来たら、お母さんみたいな人になりたい。

「おはよう」
「おはようございます」
広大さんが起きて来て、明日お昼から時間を取って貰ったことを伝えた。
「それと、私、今日は一旦家に帰って、夜から来ていいですか?」
「じゃあ、車で送るよ。先の報告になるけど、父さんに碧とのこと、報告してもいいかなぁ」
「はい、もちろんです」

2人は朝食を済ませると、事務所に向かい、広大さんがお父さんに報告をした。
「本当か・・・」
その一言を口にすると、お父さんは眼鏡を外し、目頭を押さえながら、肩を震わせていた。
「お前には辛い思いをさせたから・・・」
「父さん、ありがとう。またこれからも頼むよ」
「これから宜しくお願いします」
「碧さん、本当にありがとう」
お父さんは、涙で赤くなった目が、クシャっとなるくらいの笑顔で喜んでくれた。
こんなに喜んで貰えて嬉しい。
「じゃあ、碧を送ってくるから」
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