【小説版連載中】エルピスの花嫁〜双子の神様に愛されて〜シナリオ版の更新は終了しました
第三話
○ 学校・中庭(昼)
咲仁に抱きしめられている珠子。
何が起きたのか混乱して、赤くなりながら目をぱちくりしている。
間があって、さっきまで珠子がいた場所に植木鉢が降ってきて砕け散り、その音にビクッとする。
幸夜は少し体をずらすだけで、自分で避けていた。
幸夜「兄さん、僕も助けてよ〜」
咲仁「お前は必要ないだろ。
どんくさいコイツだけで十分だ」
咲仁は珠子の体を離す。
双子は平然としているが、珠子は砕け散った植木鉢を見て青くなっている。
幸夜「珠子ちゃん、怪我ない? 大丈夫?」
珠子「う、うん。だいじょうぶ」
呆然としたまま頷く珠子。
チャイムが聞こえてくる。
幸夜「珠子ちゃん、教室戻ろうか」
幸夜に手を引かれて歩き出す珠子。
○珠子のクラス
教室に戻るともう教師が来ており、珠子が席に着くと右隣に幸夜・左隣に咲仁が座る。
珠子「え?」
珠子が左右を交互に見ると、幸夜が机に肘をついて顎を乗せながらニコニコと珠子を見てくる。
幸夜「席、変わってもらっちゃった」
双子が元いた席を見ると、友達ABが座っている。
友達A「いいのよ、珠子! 二人からもう事情は聞いたから」
友達B「なにも言わなくていいから!」
二人はいいからいいからと手を振るが、珠子の表情は冴えない。
珠子「何言ったの!?」
声をひそめて幸夜に問うが、ニコニコ笑ってるだけ。
幸夜「さあね〜」
咲仁の方は興味なさそうに次の教科の準備をしている。
幸夜「珠子ちゃん、まだ教科書ないから見ーせて」
自分の机を珠子の机にくっつけてくる幸夜。
まさか咲仁もと身構えるが、咲仁を見ると教科書を持っている。
幸夜「一冊しか、準備間に合わなかったの」
胡散臭い幸夜の笑顔に何か言いたげな珠子だったが、授業が始まる。
教師「教科書、55ページから〜」
仕方なく、二人の机の間に教科書を広げる珠子。
○珠子のクラス(放課後)
幸夜「珠子ちゃん、一緒に帰ろ」
珠子が帰り支度をしていると、幸夜がにっこり話しかけてくる。
珠子「ご遠慮します!」
咲仁「帰るぞ」
咲仁まで言い出して、挟み撃ちにされる。
珠子「今日は、先約があります!」
睨むような眼差しの咲仁に一瞬怯むが、つっぱねる珠子。
咲仁「なに、先約って?」
咲仁に睨まれて、カバンをぎゅっと抱きしめる。
珠子「花とケーキ食べに行く約束してるの」
咲仁「なんだ。ならいい」
あっさりと引き下がる咲仁。
幸夜「気をつけて帰ってね」
連れ立って教室を後にする双子。
幸夜は教室から出る前に珠子を振り返るが、咲仁はそのまま言ってしまう。
なんだったんだろうとぽかんとする珠子。
花「珠ちゃん、ごめんだけど榴も一緒でいいかな?」
花が駆け寄ってきて手を合わせてお願いしてくる。
珠子「榴先輩もお祝いしてくれるの?
もちろんいいよ!」
笑顔で承諾する珠子。
珠子「三人で行こ行こ」
花「ありがとう!」
花は教室の入り口で待っていた榴のところに駆けて行き、珠子もその後を追う。
花「榴! オッケーだって〜」
榴「急な申し出で悪かったな」
珠子「いえいえ全然!」
珠子の香りに気がつく榴。
珠子「花と同じ匂いがする」
花「おそろいのボディーミストあげたんだ〜
毎日使ってね!」
談笑しながら教室を後にする三人。
○カフェ(夕方)
Happy Birthday to Tamakoとチョコレートで書かれたプレートに、ロウソクが一本刺さりデコレーションされたプチケーキが乗っている。
花・榴「お誕生日おめでとう!」
にこやかに花と榴が珠子をお祝いする。
珠子が笑顔でロウソクを吹き消すと、花と榴が拍手する。
珠子「ありがとう!」
花はチョコレートケーキ、榴はフルーツパフェ、珠子もケーキを食べ始めて談笑する。
珠子「花の家厳しいから、なかなか二人っきりじゃ会えないんですよね。
こういう機会にでも、デート気分楽しんでいってください」
榴「ありがとう。
でも、そのために参加したんじゃないからな。
純粋に、お祝いしたくて‥‥」
真剣に弁明する榴に、珠子も弁解する。
珠子「もちろん、そんなんじゃないってわかってます!
ただ、二人にももっと楽しんで欲しいなって思って」
花「ありがとう、珠ちゃん」
にっこり笑う花の口元にチョコがついている。
それに気づく榴。
榴がそのチョコを親指でぬぐって舐める。
榴「おいしい」
花「一口食べる?」
榴にチョコケーキを食べさせる花。
榴「俺のもあげる。なにがいい?」
花「イチゴちょうだい」
榴も花に苺を食べさせる。
榴「他は?」
花「いいの? じゃあ、メロンも〜」
目の前でいちゃつく二人を満面の笑顔で見ている珠子。
珠子(ラブラブいいなぁ〜!)
珠子「私も彼氏欲しー‥‥」
思わずこぼれた珠子の言葉に、二人の視線が珠子に集まる。
花「幸夜くんは!?」
榴「婚約者なんだろ?」
花は笑顔、榴は真顔で珠子に問う。
萎縮する珠子。
珠子「なんで榴先輩まで知ってるの〜」
榴「目立つ双子だからな。もう三年の教室まで噂が流れてきた」
頭を抱える珠子。
珠子「婚約者って言ってもパパが勝手に言ってるだけだし、今朝初めて会ったばっかりなんだよ」
花「でも、幸夜くんカッコいいじゃん。優しそうだしさ、結構ラッキーじゃない?」
珠子「ラッキー、か‥‥」
珠子(確かに、そうなのかな。
あんなイケメンが婚約者で、しかも私なんかに一目惚れしてくれるなんて、そうそうないよね)
フォークを口にくわえて悩む珠子。
その向かいではまた花と榴がいちゃついている。
花「でも、私にとっては榴が一番カッコいいし一番好きだからね」
榴「知ってる。
俺にとっても、花が一番だよ」
いちゃつく二人を見ながら、頬や額にキスして好きだよと行ってきた幸夜の姿が脳裏によぎり、頬を染める。
咲仁にも抱きしめられたことを思い出し、真っ赤になる。
珠子(凄い一日だったなぁ‥‥)
○珠子のマンションの前(夕暮れ)
マンションの前には引越しのトラックが止まっている。
珠子「すみません、私まで送ってもらっちゃって」
榴「気にするな」
花「お家入って、鍵かけるまでは油断しちゃダメよ。女の子の一人暮らしは危険がいっぱいなんだから!」
花と榴と別れて、マンションに入っていく珠子。
○珠子のマンションの廊下(夕暮れ)
珠子(あれ。パパ、帰ってきてる‥‥?)
珠子がマンションの廊下を進んでいると、自宅玄関の扉が開いている。
引越し業者「ありがとうございましたー!」
引越し業者の帽子と制服を着た男性が珠子の家から出て行く。
驚きの表情ですれ違った引越し業者を見送る珠子。
珠子(まさか‥‥)
嫌な予感がして、自宅に駆け込む珠子。
○珠子のマンション・玄関
靴箱の上には今朝贈られた花が花瓶に入れられて飾られている。
幸夜「お帰り、珠子ちゃん」
咲仁「遅かったな」
帰宅した珠子を出迎える幸夜と、通りすがりに声をかけるだけの咲仁。
珠子の自宅内には引越しの段ボールが積まれており、双子が珠子の家に引っ越してきたのは明白だった。
幸夜「寂しかったよー!」
両手を広げて抱きついてくる幸夜。
幸夜「お風呂にする? ごはんにする? そ・れ・と・も、僕?」
そう言って珠子の鼻に鼻を擦り付ける幸夜。
至近距離で見るイケメンに真っ赤になりつつ、それどころじゃない珠子。
珠子(引越してくるなんて、聞いてない!!)
咲仁に抱きしめられている珠子。
何が起きたのか混乱して、赤くなりながら目をぱちくりしている。
間があって、さっきまで珠子がいた場所に植木鉢が降ってきて砕け散り、その音にビクッとする。
幸夜は少し体をずらすだけで、自分で避けていた。
幸夜「兄さん、僕も助けてよ〜」
咲仁「お前は必要ないだろ。
どんくさいコイツだけで十分だ」
咲仁は珠子の体を離す。
双子は平然としているが、珠子は砕け散った植木鉢を見て青くなっている。
幸夜「珠子ちゃん、怪我ない? 大丈夫?」
珠子「う、うん。だいじょうぶ」
呆然としたまま頷く珠子。
チャイムが聞こえてくる。
幸夜「珠子ちゃん、教室戻ろうか」
幸夜に手を引かれて歩き出す珠子。
○珠子のクラス
教室に戻るともう教師が来ており、珠子が席に着くと右隣に幸夜・左隣に咲仁が座る。
珠子「え?」
珠子が左右を交互に見ると、幸夜が机に肘をついて顎を乗せながらニコニコと珠子を見てくる。
幸夜「席、変わってもらっちゃった」
双子が元いた席を見ると、友達ABが座っている。
友達A「いいのよ、珠子! 二人からもう事情は聞いたから」
友達B「なにも言わなくていいから!」
二人はいいからいいからと手を振るが、珠子の表情は冴えない。
珠子「何言ったの!?」
声をひそめて幸夜に問うが、ニコニコ笑ってるだけ。
幸夜「さあね〜」
咲仁の方は興味なさそうに次の教科の準備をしている。
幸夜「珠子ちゃん、まだ教科書ないから見ーせて」
自分の机を珠子の机にくっつけてくる幸夜。
まさか咲仁もと身構えるが、咲仁を見ると教科書を持っている。
幸夜「一冊しか、準備間に合わなかったの」
胡散臭い幸夜の笑顔に何か言いたげな珠子だったが、授業が始まる。
教師「教科書、55ページから〜」
仕方なく、二人の机の間に教科書を広げる珠子。
○珠子のクラス(放課後)
幸夜「珠子ちゃん、一緒に帰ろ」
珠子が帰り支度をしていると、幸夜がにっこり話しかけてくる。
珠子「ご遠慮します!」
咲仁「帰るぞ」
咲仁まで言い出して、挟み撃ちにされる。
珠子「今日は、先約があります!」
睨むような眼差しの咲仁に一瞬怯むが、つっぱねる珠子。
咲仁「なに、先約って?」
咲仁に睨まれて、カバンをぎゅっと抱きしめる。
珠子「花とケーキ食べに行く約束してるの」
咲仁「なんだ。ならいい」
あっさりと引き下がる咲仁。
幸夜「気をつけて帰ってね」
連れ立って教室を後にする双子。
幸夜は教室から出る前に珠子を振り返るが、咲仁はそのまま言ってしまう。
なんだったんだろうとぽかんとする珠子。
花「珠ちゃん、ごめんだけど榴も一緒でいいかな?」
花が駆け寄ってきて手を合わせてお願いしてくる。
珠子「榴先輩もお祝いしてくれるの?
もちろんいいよ!」
笑顔で承諾する珠子。
珠子「三人で行こ行こ」
花「ありがとう!」
花は教室の入り口で待っていた榴のところに駆けて行き、珠子もその後を追う。
花「榴! オッケーだって〜」
榴「急な申し出で悪かったな」
珠子「いえいえ全然!」
珠子の香りに気がつく榴。
珠子「花と同じ匂いがする」
花「おそろいのボディーミストあげたんだ〜
毎日使ってね!」
談笑しながら教室を後にする三人。
○カフェ(夕方)
Happy Birthday to Tamakoとチョコレートで書かれたプレートに、ロウソクが一本刺さりデコレーションされたプチケーキが乗っている。
花・榴「お誕生日おめでとう!」
にこやかに花と榴が珠子をお祝いする。
珠子が笑顔でロウソクを吹き消すと、花と榴が拍手する。
珠子「ありがとう!」
花はチョコレートケーキ、榴はフルーツパフェ、珠子もケーキを食べ始めて談笑する。
珠子「花の家厳しいから、なかなか二人っきりじゃ会えないんですよね。
こういう機会にでも、デート気分楽しんでいってください」
榴「ありがとう。
でも、そのために参加したんじゃないからな。
純粋に、お祝いしたくて‥‥」
真剣に弁明する榴に、珠子も弁解する。
珠子「もちろん、そんなんじゃないってわかってます!
ただ、二人にももっと楽しんで欲しいなって思って」
花「ありがとう、珠ちゃん」
にっこり笑う花の口元にチョコがついている。
それに気づく榴。
榴がそのチョコを親指でぬぐって舐める。
榴「おいしい」
花「一口食べる?」
榴にチョコケーキを食べさせる花。
榴「俺のもあげる。なにがいい?」
花「イチゴちょうだい」
榴も花に苺を食べさせる。
榴「他は?」
花「いいの? じゃあ、メロンも〜」
目の前でいちゃつく二人を満面の笑顔で見ている珠子。
珠子(ラブラブいいなぁ〜!)
珠子「私も彼氏欲しー‥‥」
思わずこぼれた珠子の言葉に、二人の視線が珠子に集まる。
花「幸夜くんは!?」
榴「婚約者なんだろ?」
花は笑顔、榴は真顔で珠子に問う。
萎縮する珠子。
珠子「なんで榴先輩まで知ってるの〜」
榴「目立つ双子だからな。もう三年の教室まで噂が流れてきた」
頭を抱える珠子。
珠子「婚約者って言ってもパパが勝手に言ってるだけだし、今朝初めて会ったばっかりなんだよ」
花「でも、幸夜くんカッコいいじゃん。優しそうだしさ、結構ラッキーじゃない?」
珠子「ラッキー、か‥‥」
珠子(確かに、そうなのかな。
あんなイケメンが婚約者で、しかも私なんかに一目惚れしてくれるなんて、そうそうないよね)
フォークを口にくわえて悩む珠子。
その向かいではまた花と榴がいちゃついている。
花「でも、私にとっては榴が一番カッコいいし一番好きだからね」
榴「知ってる。
俺にとっても、花が一番だよ」
いちゃつく二人を見ながら、頬や額にキスして好きだよと行ってきた幸夜の姿が脳裏によぎり、頬を染める。
咲仁にも抱きしめられたことを思い出し、真っ赤になる。
珠子(凄い一日だったなぁ‥‥)
○珠子のマンションの前(夕暮れ)
マンションの前には引越しのトラックが止まっている。
珠子「すみません、私まで送ってもらっちゃって」
榴「気にするな」
花「お家入って、鍵かけるまでは油断しちゃダメよ。女の子の一人暮らしは危険がいっぱいなんだから!」
花と榴と別れて、マンションに入っていく珠子。
○珠子のマンションの廊下(夕暮れ)
珠子(あれ。パパ、帰ってきてる‥‥?)
珠子がマンションの廊下を進んでいると、自宅玄関の扉が開いている。
引越し業者「ありがとうございましたー!」
引越し業者の帽子と制服を着た男性が珠子の家から出て行く。
驚きの表情ですれ違った引越し業者を見送る珠子。
珠子(まさか‥‥)
嫌な予感がして、自宅に駆け込む珠子。
○珠子のマンション・玄関
靴箱の上には今朝贈られた花が花瓶に入れられて飾られている。
幸夜「お帰り、珠子ちゃん」
咲仁「遅かったな」
帰宅した珠子を出迎える幸夜と、通りすがりに声をかけるだけの咲仁。
珠子の自宅内には引越しの段ボールが積まれており、双子が珠子の家に引っ越してきたのは明白だった。
幸夜「寂しかったよー!」
両手を広げて抱きついてくる幸夜。
幸夜「お風呂にする? ごはんにする? そ・れ・と・も、僕?」
そう言って珠子の鼻に鼻を擦り付ける幸夜。
至近距離で見るイケメンに真っ赤になりつつ、それどころじゃない珠子。
珠子(引越してくるなんて、聞いてない!!)