秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。
 夢中で撫で回していたらもっとヌルついてきて、撫でている指も、手のひらまでその感触が広がった。僕の手はヌルヌルしたものがべっとり付いていた。

「ねえ。指を、中に入れてみて」
 
 甘い声でそう言われても、子どもだから意味がわからない。保健体育の授業で女の子の体の仕組みは習った。でも授業で習ったことなんかすべて頭から飛んでしまっていたし、実際に現実の女の子にそれを置き換えるなんて無理だ。無理に決まってる。っていうか、何だかわけわからない状態で、引っ越した先の、初めて会った年上の綺麗な、いとこであるお姉さんの、大事なところを自分の指が触っているなんて、僕の理解を遥かに超えていた。

 もう少し、下よ。
 もうちょっと上。
 もう少し。
 あっ。そこ。
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