悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)
プロローグ
 はるか遠くに、誰にも認識されていない謎の星が存在している。

 その星には地球のように生き物が存在し、豊かな水や食料など、人やその他の生き物が生息できる環境が整っている。

 ただ地球と違うところは、その星には魔力、という概念が存在することだろうか。

 その魔力は、その星で生活していく上でとても便利なため重要なものとなっている。

 料理をするための水、暖を取るための炎、明かりのための雷、植物の成長を促し、ときに大地を動かすことで住むための場所を作ることができる大地。

 それらの基本魔法に加え、人を癒やすことのできる光、そして基本魔法に含まれないが物体を動かしたり、影同士を繋げ会話もすることのできる闇など、使い手の少ない希少な魔法。

 人々は、その多大な恩恵を受け、平和な暮らしを送っていた。
 
 そう、やつが現れるまでは。


 あるとき、この世界に生まれついたのなら誰しもが持っているはずの魔力を持たない貴族が生まれた。平民でも多少は持っているのに、だ。

 そのことに不満を覚えた彼は、そのうちまわりのものに悪意を向けるのに夢中になっていった。

 向けた悪意はやがて呪いとなり、人を恨む気持ちは瘴気となって人々を傷つけた。

 瘴気は植物を害し、動物を魔物に変え、どんどんその国を悪化させていった。
 
 これが後の魔王である。

 今にも滅びてしまう、そういったとき。

 一人の少女が現れ、魔王を倒し、その国に平和をもたらした。

 女神様は、魔王から国、いや世界を救うために、聖属性を使える少女を異世界から送り込んだ。それが、のちの聖女。

 聖属性とは、光属性のように回復させることができたり、結界を張って自分や味方を守ったりできるものだ。

 しかし光属性と違うのは、その回復の精度。傷を癒やし病を治すだけでなく、失った手足をも再生させることができ、奇跡と呼ばれていた。

 ある時、味方を回復しているスキをつかれ劣勢に追い込まれてしまう。
 
 その時、女神が勇者を召喚し、二人とその他の兵士や聖騎士を中心とした人たちが力を合わせることで、ようやく魔王を倒すことができたのだった。
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