悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)
「あら、もうこんな時間じゃない!みんな、もう準備はできた?早く馬車に乗るわよ!」

「「「「「はーい!」」」」」

 屋敷の外に出て、みんなで馬車に乗り込んだ。みんなというのは、私、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、弟、ミリー。そして、馬車の御者さんである。最初見たときは、馬車の大きさに心のなかで驚いてしまった。

「愛ちゃんの記憶を取り戻してから馬車に乗ったのは初めてでしょ?ゆっくり景色を楽しんでね!」とお母さん。

「はーい!」

 しばらくすると、私達が治めている領の街が見えてきた。領民たちが、手を振りながらお見送りをしてくれる。私達家族と領民たちの仲は良好で、時々作物の収穫のお手伝いをしたり、私達の家でパーティーをしたりしている。

「今日はレティーシア様の鑑定式でしたよねー!良い結果を望んでいますー!」

「あ、お姉ちゃんたち!また遊んでね~!」

 領民たちとは良い関係を築けていて、たまに一緒に遊んでいる。親が自分たちの暮らしよりも領民の暮らしを優先するため、貧民街などは存在せず逆に領民に暮らしを心配されている始末。

 しかし、誰にでもお金を貸すのではなく、領主自ら仕事探しを手伝い、誰でも働ける状況を作り、たまに視察をしに来る。これこそ、領民から慕われる所以なのだ。
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