悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった（嘘だと言って！）

奇跡の少女、いきなりピンチ

「ごきげんよう、レティーシア様」

　鑑定式が終わり、教会から出ようと階段を降りようと階段の前に立ったとき、伯爵家の令嬢であるオルビア・ハールデンが声をかけてきた。しかし、その目には明らかな敵意が宿っていた。

　おかしいな？確かオリビアはサポートキャラ的な存在だったはず。そう思いながらも、挨拶を返す。

「ごきげんよう、オリビア様。どうされましたか？

「どうされましたか、じゃないのよ。どうせズルをしたくせに。なんてはしたないの？いくら第ニ王子様に見初められたかったからと、属性を偽ることは許されないわ。」

「偽ることなどしておりませんわ。私は、普通に鑑定を受けただけです！」

　周りに野次馬が集まる。

「調子に乗るんじゃないわよ！男爵家のくせに！！」

　ヤバい、と思ったときにはもう遅かった。オリビアの手によって突き落とされ、階段から真っ逆さまに落ちていく。

　その時。【危ない！】という、この世界で聞こえるはずのない日本語が聞こえ、私の落下が止まる。

　目を開けると、悪役令嬢であるはずの彼女が、真剣な表情をして私の方に両手を突き出していた。