悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった（嘘だと言って！）

「っ！なぜですか！？…あぁ、名前を間違えているのですね。わたくしは伯爵家の令嬢、オリビア・スカーレット。捕まるこそはあちらの男爵令嬢、レティーシア・フレンツですわ！」

　ヒェ？！明らかに先生の周りの温度が下がってる！寒い！

　あまりの寒さに魔法で自分の身体を温かい空気で包むと、「私も！」というようにマリーが近寄ってきたので同じようにしてやる。

「バカにしてるのかな？生徒の名前を覚えてこそ、完璧な教師だと思うけど。捕まるのはあなた、オリビアさんだよ。」

「なぜ！？」

「オリビアさんが最初に魔法を使うところを見たからだよ。」

「！？し、しかし！それは、レティーシアさんに最初に悪口を言われて頭に血が上ったからで…」

「僕のことを誰だと思ってるのかな？遠くの話を聞き取るぐらい、僕にとっては造作もない事なんだよ。
　マリアさんに言い争いが教室で起きているって言われたときに、魔法でどんなことを言い争っているのかな〜って聞いてたから、先に悪口を言ってたのはあなただってわかるよ。」

　押し黙ったオリビアに、先生が更に追い打ちをかける。

「しかも、レティーシアさんが魔法を使ったのは正当防衛のため。何かあった時に自分の身を守るためならば、魔法を使っても咎められないんだよ。」