悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)

幼馴染の兄と再会 side・レティ

【もしかして、本当に、美奈、なのか…?】

【ピンポンピンポーン、大正解!久しぶり、まー兄!】

 そう、この雨宮雅人とは、前世での私の幼馴染の兄で、時々一緒に遊んでいた仲なのだ。

 私が『にゃんねこ先生』がまー兄であることを知ったのは、第2王子が雨宮雅人という名前だったり、主人公が雨宮空という名前だったりしたから。

 まー兄が結婚したことや空さんが死んでしまったことは、彼の弟、つまり私の同級生兼好きな人な幼馴染から聞いていた。

【そうだったのか…。通りで【美奈】や【空】の名前がカフェテリアで聞こえてきたわけだな。】

【やっぱり、話を盗み聞きしてたのはまー兄だったんだね。】

【人聞きの悪いこと言うな。】

【ちぇ、ホントのことじゃ〜ん…】

 そう言って二人で笑いあった。

【ていうかいつ死んじゃったの?私が生きてたときにはまー兄が死んじゃったっていうのは、こーくんから聞いてないけど。】

【っあ〜、俺は過労死。もう一作品書けって言われて頑張ってたけど、気付いたらこの世界で第2王子やってたからあ〜俺死んだんだな、次の人生頑張ろって。死んだのはお前の一年後ぐらいじゃね?】

【あ〜、お疲れさまでした。っていうか私達死んじゃうの早いね】
 
【それな〜】

【…こーくん元気だった?】

【まぁ、それなりに元気だったんじゃね?】

【私が死んじゃったときは?っていうか私、どうして死んじゃったんだっけ?】

【お前、覚えてないのか?…やめとけ、思い出してもいいことないぞ。事故だったとしても、自殺だったとしても、他だったとしても。思い出したって何も変わらない。】

【そうだね。】

【俺だって、過労死したって思い出して、もう少し休憩しながら書けば〜とか、最初の頃とか後悔しっぱなしだったけど。今生きてるから今の人生頑張ろ〜って感じで考えんのやめた。考えてても過去に戻れるわけでもないからな。】

【そっか、確かにね!今生きてるんだし、頑張ろ!ありがとね、まー兄!】
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