悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった（嘘だと言って！）

　クロード殿下と私は、第１王子とのお見合いが失敗したときに婚約者候補として顔合わせしていた。当時王家と釣り合う家は、私の公爵家が一番高かったためである。

　この時点で、もう原作から離れていたため違和感や不安を覚えていた。

　この顔合わせの話を聞かされた時、あぁ、その人も私を気に入らないんだろうな、と思った。

　私の容姿はかなり優れている方だと思う。使用人だけでなく、時々行くパーティーなどでも称賛の声が聞こえていた。

　しかしこのときには、第一王子にこっぴどくけなされたため、自分に自信を持てなくて、会うのがすごく憂鬱だった。

　そんな気持ちを抱えたまま臨んだ顔合わせの日。

　初めて会った彼は、なぜかそうでないような懐かしい雰囲気が感じられた。昔パーティーですれ違ったからだろうか？

　一方彼は、私を見たとき、とても驚き、頭を押さえてうずくまっていた。

　とても心配だったが、頭の中では心配と同時に違うことを考えていた。

　兄に聞かされたとおりの不美人だった？頭が痛くなるほどに？

　しばらくたった後、彼は立ち上がったかと思うと勢いよく頭を下げた。

「すまない、こんなにも美人な貴女を罵ってしまうようでは、この国の先を思うと不安になってしまってね。」

　そんな言葉を言われ、たとえこれがお世辞でもうれしく思った。

　そして、それからも学園に通うまでは時々交流を重ね、この人が国王になったらなぁ、などと思うほどには好感度を覚えていた…