悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった（嘘だと言って！）

何故か切ない

　ふっと目を覚ますと、そこは学園内にある保健室だった。

「あっマリー目が覚めた！先生！まーｎ…クロード殿下！！」

「本当か！？良かった！」

　どうやら私は少しの間意識を失っていたらしい。目を覚ますとすぐ見飛び込んできたレティの心配そうな顔に一瞬ほっとし、先生の次に呼ばれた名前に一気に目が覚め、青ざめる。

「はい、軽い熱中症ですね。もう暑いですので、こういった授業の場にも水筒を持ってくることをおすすめします。」

「ありがとうございます。気を付けますね。」

　念の為と体調を診てくれた先生は、また倒れた生徒がいては大変だと部屋をいそいそと退室していった。

「よかった、貴女に何もなくて。」

　この世界にも熱中症があるんだ～、なんて現実逃避をしていたが、クロードの声掛けで一気に引き戻される。

「殿下！この度はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした！」

「大丈夫だよ。私が運びたくて運んだんだ。」

「えぇ！？」

　ただ付き添っていただいただけだと思ったら、まさか運んでもらっていた！？

「そうそう、まるで王子様みたいにね。って本物の第二王子か。みんな見惚れてたよ～」

　レティ、さすがに不敬すぎでは？そう思ったが、クロードは全く気にせず、「失礼だろ～！」とおどけていた。

「すみません。重かったですよね？」

「いや、羽のように軽かったよ。もっと食べたほうがいいのではないか？」

　さすがにそんなことはないとおもうんだけど・・・　

　そう思いながら再び謝るも、やはり二人は想い合っているんだと悲しくなったところであれ？と思う。なぜ悲しくなるのだろう？