悪役令嬢モノの悪役ヒロインに転生してしまった(嘘だと言って!)

告白

「信じてもらえないかもしれないけれど、昨日頭を打ったときに…前世の記憶を思い出したの。」

「前世ってなあに?」

「前世って言うのは、『この世に生まれる前の人生』なんだって。それを思い出して、もう前世の家族や仲のいい友達にあえないと思うと、なんだか涙が止まらなくなっちゃって…」

 そのとき、お父さんが立ち上がり、私の方に近づいてくる。
 
 どうしよう、やっぱり変な子って思われたかな?

 怒られるっと身構えていたが、ふわっと抱きしめられてびっくりする。

「辛かっただろう?でも、大丈夫だ。元の場所には戻れないが、これからは私達家族でいっしょに暮らしていこう。」

とお父さんが優しく言った。

「信じてもらえるのですか?!」

「ええ、この国には前世の記憶をもって生まれる子供が多いのよ。あなたもそうだったのね。だとしたら、朝のは納得行くわ。」

「お姉ちゃん、ぼくはどんなお姉ちゃんでも、だ〜い好きだよ!」

「僕もだ。なんせ、我らのかわいい"紅茶姫"なんだからな。家族なんだし、そんなに畏まらなくていいよ!」

 その言葉に再び涙が溢れそうになったが、ぐっと堪えた。

「みんな、ありがとう!これからもよろしくおねがいします!」

私はとても嬉しくなり、挨拶をしたあともう1回泣いてしまった。

数10分後。

「そういえば、今までのレティーシアとして生きていた記憶は残っているのか?」

 ご飯を食べ終えた兄が聞いてくる。
 
「うん。なんか、私の今までの記憶に前世の記憶をプラスされた感じ。」
 
 私がそう言うと、みんなが同時にほっとため息をついたので、少し笑ってしまった。
< 5 / 47 >

この作品をシェア

pagetop