「好き」と言わない選択肢
咲音は時々、発作を起こした。その度、皆が血相抱えて病院に駆け付けた。それでも、長期の入院もなく、無事に大学を卒業した。その頃から、発作も減ってきていた。
だけど咲音は、あまり人を寄せ付けない、どこか冷めたオーラを漂わせていた。
「拓真兄、私ね、パパの会社の面接受けたの」
「はあ? 大手だぞ。コネでなんとかなっただろ?」
「嫌よ、そんなの。それに、パパにはまだ言ってないんだ」
「はあ? まじか…… まあ、受かるかわからねぇけど、でも、どうしてあの会社なんだ?」
「うーん。パパの仕事って凄いじゃん。世の中に出回ってる商品作るんだよ。私も、自分の商品企画してみたい。私が作った事なんて、誰も知らなくていい。でも、何かの商品として、この世に残っていて欲しい……」
俺の胸が、不安に押しつぶされそうになる。咲音には気づかれないように、平常心で会話を続けた。
「咲音? 最近調子どうなんだ?」
「うん。すごく調子いいよ」
「そっか。受かるといいな」
「うん」
そして、咲音の元に合格の通知が届いた。そりゃ、家中大騒ぎになった。結局、知っていた俺が一番怒られた。
それでも、咲音の気持ちは変わらず、大学も必要以上に人とかかわる事なく就職した。
それが、いいのか?は正直わからないけど、咲音が決めた事に俺が何か言うのは違うと思った。
でも、どこかで、咲音が誰に気持ちを許して、若い女の子らしい時間を過ごして欲しいとも思った。
咲音が入社して間もなく、もんたで咲音が、男と座っている姿があった。プライベートで、誰かと飲むなんて考えられなかった。だけど、もし、咲音がこの男を好きになったら、咲音が苦しむのは間違いないだろう。想像するだけで怖くなった。
その時だろうか? 自分のビジョンが見えてきたのは……
だけど咲音は、あまり人を寄せ付けない、どこか冷めたオーラを漂わせていた。
「拓真兄、私ね、パパの会社の面接受けたの」
「はあ? 大手だぞ。コネでなんとかなっただろ?」
「嫌よ、そんなの。それに、パパにはまだ言ってないんだ」
「はあ? まじか…… まあ、受かるかわからねぇけど、でも、どうしてあの会社なんだ?」
「うーん。パパの仕事って凄いじゃん。世の中に出回ってる商品作るんだよ。私も、自分の商品企画してみたい。私が作った事なんて、誰も知らなくていい。でも、何かの商品として、この世に残っていて欲しい……」
俺の胸が、不安に押しつぶされそうになる。咲音には気づかれないように、平常心で会話を続けた。
「咲音? 最近調子どうなんだ?」
「うん。すごく調子いいよ」
「そっか。受かるといいな」
「うん」
そして、咲音の元に合格の通知が届いた。そりゃ、家中大騒ぎになった。結局、知っていた俺が一番怒られた。
それでも、咲音の気持ちは変わらず、大学も必要以上に人とかかわる事なく就職した。
それが、いいのか?は正直わからないけど、咲音が決めた事に俺が何か言うのは違うと思った。
でも、どこかで、咲音が誰に気持ちを許して、若い女の子らしい時間を過ごして欲しいとも思った。
咲音が入社して間もなく、もんたで咲音が、男と座っている姿があった。プライベートで、誰かと飲むなんて考えられなかった。だけど、もし、咲音がこの男を好きになったら、咲音が苦しむのは間違いないだろう。想像するだけで怖くなった。
その時だろうか? 自分のビジョンが見えてきたのは……