ラブ・ジェネレーション
「お父さんとペアの番号だから、もし私が忘れてもお父さんがわかるから大丈夫ってね」
「お父さんが居なくなったら意味ないじゃん」
「そんなこと考えてもいなかった、、、だからずっとわからなかったの」
でも面白い事考えるね、「お父さん友愛数なんてよく知ってたね」
「お父さんも読書好きだったから、ほら前に“博士の愛した数式”って本が売れたでしょ、夢中になって読んでたよ」
「お母さんも、お父さんの耳慣れない言葉をよく覚えてたね」
「学校の先生が言ってた事は忘れても、好きな人が教えてくれた事は不思議と覚えているもんだよ、結衣だって翔琉くんが教えてくれた事は覚えているでしょ」
「……そうか、確かにそうだね」
「結衣は本が好きなのに、その本は読んだ事ないの?」
「数学が嫌いな私がそんなタイトルの本を手に取ると思いますか?」
「そうだね、内容よりタイトルではじかれちゃうよね、可哀想に、」
うるさい! 全部の本読めるわけないんだから。
「で? 写真は見られるの」
「うん、懐かしい、皆んな若かったね、後でじっくり見たい、、」
今は携帯で写真を撮る事が多いけど紙に印刷しないからデータが消えてしまうと永久に見られない。消えないまでも本人がいなくなれば、残された人がそのデータを目にする機会はなくなってしまう気がする、クラウドで保存していても知らなければ取り出しようもない。
「結衣、会いたくなっちゃった、、お父さんに、」
昔を思い出したのか、お母さんはまたまた涙にくれていた。
「うん、わたしだって会いたいよ」
もっと早くに話してあげれば良かった、手紙ももっと早く渡してあげれば、
どうしてお父さんは内緒にしたかったんだろう、
何も隠す必要はないと思うんだけどなー。