ラブ・ジェネレーション
橋を渡り堤防に出て、ふと見上げた空……
いつの間にか空が高い、間近に迫った夏を感じさせる、
河川敷から吹き上げる南寄りの風が悪戯っぽく制服のスカートを巻き上げた、
立ち止まって手で押さえた私に、翔琉は気づいたのか恥ずかしげに視線を逸らせた。
「もう、エッチな風」
「男なんじゃない」
「はい? 翔琉みたいな風ってこと?」
「俺だけじゃないだろ、男はみんな一緒」
皆んな異性の躰に興味深々だ、思春期なんだから当然かもしれない、教室で男女がキャッキャッ騒いでる話題は間違いなく下ネタが多い。
私のスカートの丈は今時の女子高生ぽくなくて長めにしている、短くしてる子は見られてもいいようにアンダースコートを履いている子もいるけど、そこまでしてミニにする気持ちが私にはわからなかった。
確かに可愛く見える、けど短くしたところで私には似合わないし、そんな視線を向けられるのも嫌だ。
「結衣は、どうして部活をやらないの?」
「わたし? 得意なものがないし、やってみたいものもないからね」
まぁそれだけじゃないんだけどね、早く家に帰りたい理由が私にはある、
「小中学校も、部活はやってなかったっけ?」
ん、なかったっけ?
「小学校の時は水泳部、習い事でダンスもやってたよ、それも中学に入る時に辞めちゃった」
「どうして?」
「三年やって悟りを開いたって感じ、センスがないのがわかったから」
たかが三年ばかりで悟りなど開けるわけがないか、要は進歩しない自分に見切りをつけただけの話だ、
同時期に始めた子と比べればわかる、自分なりに頑張ったつもりでもどんな世界でも結果がすべて。
それに球技は避けていた、得意じゃないのもあるけどボールには触れたくない過去があったからだ。
こんな感じで始まった恋は卒業するまで続いた、それまでの人生で一番幸せを感じていた高校生活、
それが翔琉のおかげだと重々わかっていたはずなのに、私は彼の手を離してしまった。