ラブ・ジェネレーション

「結衣、俺の横に座って」
はいはい、いーですよ、なんなりと、

堤防の土手の枯れた芝生に寝転んで、真っ赤に染まる大きな夕陽を全身に浴びた、ほのかな草いきれが鼻をくすぐり、懐かしさを呼び寄せる。

そう、二人の思い出の場所だった、、

「わぁー、大っきいねー、久しぶりに此処で見た」

遥か遠く山の影に落ちかけた夕陽が、山の稜線に帽子のようにかかる雲をオレンジ色に染めている。


「ねぇ翔琉、なんで夕陽は大きく見えるの?」

「昔は大気の屈折とか、赤色は波長が長いからとか言われてたけど、今は目の錯覚が有力らしいよ」

「うそだー、目の錯覚なの⁉︎ そんなはずないよ、本当に大っきく見えるもん」

「これだっていう答えは今でも示されていないよ」

翔琉はなんでも知っている、こんな雑学問題なんて朝飯前だ。

私に関するどうでもいい事も、英単語を覚えるように記憶していて、
たまに私よりも私の事を知ってるんじゃないかって、不安になることがある。




「ここで、結衣に告白したんだよな」

もう二年も前の話だ、
高校一年生の時、クラスの人気者の翔琉が、地味でまったく存在感もない私に照れながら好きだって言ってくれた、

「……そんなこともあったね」

遥か遠い昔のような気がする、


「ここで、はじめてのキスもした」
「うん」 やだ思い出すじゃない……、
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