ラブ・ジェネレーション
4.進藤優衣の秘密
再会して八ヶ月ぐらい経った頃、
ご主人の赴任先から月に一度程度自宅に帰るというお母さんと偶然顔を合わせた、
「結衣ちゃんだったね、いらっしゃい」
「おばさん、ご無沙汰してます」
高校卒業以来だったけど、おばさんは私をちゃんと覚えていてくれた、
「また翔琉と付き合ってくれてるんだって、無理しなくていいからね」
「母さん!変な事言わないでよ、結衣と関係を戻すのに大変だったんだから」
おばさんは可愛く舌を出して「結衣ちゃんありがとね」って言ってくれた。
「私もゆいって名前なんだよ、字は違うんだけどね」
「は、はい翔琉くんから聞いてます、優しいって字ですよね、うちのお父さんも本当はその字にしたかったみたいなんですけど、苗字を合わせた字画が悪かったみたいで、」
「そうなんだー、でも読みが一緒だからなんか親近感がわくよね、翔琉がいつも結衣が結衣がって呼び捨てにしてたからさ、たまにムカってする時があったんだよね、はははっ」
「私の死んじゃったお父さんが名付けてくれたんです、女の子が生まれたらこの名前にしたいって決めてたみたいで」
「へー、お父さんセンスいいじゃない、でも亡くなっちゃたのか、淋しいね」
私は無意識に首にかけた形見のペンダントをギュッて握りしめていた、
その仕草をおばさんは見逃さない、首を傾げて不思議そうに見ていた、
おばさんの視線を感じて、隠す必要もなく説明した。
「あっ、お父さんの形見なんです、まだ元気な時に私に手渡しでくれたペンダント」
「そう、それを肌身離さず持ってるんだ、きっと結衣ちゃんを天国から見守ってくれてるよ」
「はい、私もそう思ってます、ちなみにお父さんは翔琉って名前なんですよ、字もまるっきり一緒」
「えっ、すごーい、そんな偶然あるの? 翔琉は私が名付けたんだけどね」
本当に偶然だと思っていた、この時までは、