ラブ・ジェネレーション

「美味しかったー、でもあんなにも食べられないよ」

翔琉の家から歩いて5分程度のところに新しくできたステーキハウス、最近テレビCMでもよく見かけるチェーン店だ、私の体調が戻るのを待って約束通り翔琉は美味しいお店に連れてってくれた。

「結衣の残りも食べたから俺はもうお腹いっぱい、このまま横になりたいぐらいだよ」
「食べてすぐ寝ると牛になるよ、あれっ、豚だっけ?」

「牛で合ってるけど、食べてすぐ寝ると行儀が悪いって事の戒めの言葉だからさ」
「そうなの? 本当に牛になるのかと思っていた、子供の時はよく親に言われたよ」

「結衣が行儀が悪かっただけだろ」
「失礼ねー」 でもその通りだったかな、


お店を出て、翔琉の家に戻る途中のことだった、
まだ体力が続かなくて、不安な足取りで歩く私の腰に手を添えて支えてくれた、

「大丈夫?」心配そうに覗き込む翔琉、

「嬉しくて、つい食べ過ぎちゃったかな」心配かけまいと嘘をつく私、

急に立ち止まった翔琉に不意を突かれ転びそうになる私の躰を支えて落ち着かせると、
黙ったまま座り込んで道路の向こう側の公園に目を向けた、

「どうかしたの?」

返事はない、思い詰めたように身動き一つしなくなった、

「翔琉?」

「あっ、ああ、ごめん、俺が小学校一年生の時さ、ここで兄さんが交通事故に遭ったんだ」
「お兄さん? 翔琉、お兄さんもいたの?」

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