ラブ・ジェネレーション

「結衣ちゃんには感謝してるの、翔琉がそんな目にあいながらもいい子に育ったのは結衣ちゃんに出会ったからなんだよ」

「私に出会う前から翔琉はいい子でしたよ、女の子にモテてたのがその証拠です、お義母さんが愛情いっぱいに育てたから」

「それは高校生の時の話でしょ、もっと前に結衣ちゃんは翔琉に会ってるよ」

えっ、うそ、私は憶えてない、

「い、いつですか?」

「結衣ちゃんダンスやってたでしょ、クラブEXITで」

「はい、小学生の時、なんで知ってるんですか?」

「桃香もEXITで習ってたんだ、イベントクラスだったから結衣ちゃんと一緒に踊ったことはないと思う」

「お姉さんも? でも私は初級クラスだったから十歳も離れていれば知らないかも知れないです」
イベントクラスは上級者で大学生以上の人達で構成されていた。
練習時間も違うため普段交わることもなかった。

「年一回の発表会の時ね、翔琉と一緒に桃香を観に行ったの、
その時結衣ちゃんが振り付けを間違えて泣いてるのを見たよ」

「やだー、ありました、そんな事、一生懸命練習したのに間違えちゃって凄く悔しかったんです」

「その時に結衣ちゃんに百合の花を一輪あげた男の子がいたでしょ、それが翔琉」

あの時の、、男の子?

『大丈夫、自信をもって』
発表会が終わった後、ホールの溜まり場でお母さんの腕にしがみついて泣いていた私に、百合の花を一本手渡しながら男の子はそう言った。
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