ラブ・ジェネレーション
8.新婚旅行
カーラジオからは今ヒット中のラブソングが流れていた、
空港からレンタカーを借りて東へ、やがて郊外に出れば見渡す限りの大自然が広がっていた、よく写真で見る景色、水平線の彼方の空までも続く一本道、
車の窓を開けて大声で叫んだ、
「あーーーー、風が気持ちいいッー、、でっかいどー‼︎」
「はははっ、一度は言ってみたいよな、結衣、今夜は小樽のホテルで一泊しようか、」
はい? しようかって、決めてないってこと?
最初はサプライズでも考えてくれてるんだって安易に考えていたけど、どうも様子がちがう、
新婚旅行なのに計画も立てずに行き当たりばったり、翔琉らしいと言えばそうかもしれないけど、
本州は梅雨時、梅雨がなく気候的にも快適なこの季節は人気があるんだよ、
「宿が取れなかったら、どうするつもり?」
「そう思って、レンタカーはこれにした」
あっそう、キャンピングカーなんて、はじめから車中泊かと思いましたけど!
一応保険だったわけね、じゃなくてさ、
「新婚旅行だよね?」
「そのつもりだけど、なんで?」
やっぱりこいつは天然か、普通は一生に一度泊まれるかどうかの高級ホテルじゃないんですか、
「お金無かったっけ?」と嫌味っぽく言うと、
「この日のために貯金しておいたから、パーって使うつもり、心配しなくていいよ」と返す、
心配してくれなくても既に心配だらけです!
「汗かいたから…………お風呂には入りたい」
「何処かに温泉でもないかなー、最悪1日ぐらい我慢してよ」
「いや! 絶対イヤ! 抱かせてあげないんだから!」
「新婚旅行なのに?」
「翔琉が悪いんでしょ!」