ラブ・ジェネレーション

日も暮れかかる時間帯なのに辺りに灯ひとつ見えてこない、星の瞬きの方が明るいくらいだ、

「翔琉、生きて帰れる?」

昼食を小さな街で済ませてからの、いつまでも変わらぬ景色に不安が募る、

「カーナビでは、あと192キロってなってるよ、2時間半ぐらいかな」

「まだそんなにかかるの?……お腹空いたー、座りっぱなしでお尻も痛い!」
「だから俺の言うこと聞いて後ろで寝てればいいのに」

「新婚旅行で奥さんだけ寝れないでしょ! そこまで神経図太くないよ」

「じゃあ、やっぱり今夜は車で寝るか」

「えーーーーーーっ」

最近になってようやくわかりかけてきた、翔琉は賢くてしたたかだ、行き当たりばったりに見えて、実は計算され尽くしてるんじゃないかって、あの再会した夜に感じた違和感、自分で描いたシナリオどうりに事を運んでいる気がしていた。

今夜ははじめから車で寝るつもりだったのだろう。
その証拠にバーベキューの道具と、食材も車内の冷蔵庫に入っていると言う。

「なんで、そんな用意があるの?」
「レンタカーを予約する時に頼んでおいたから、こんな事もあるかなってさ」

違うでしょ、使うかどうかもわからないものをお金を出してまで頼むわけがない、移動距離から考えれば到着時間など容易に推察できるはずだ、

「お風呂は? シャワーもないの?」

「水を沢山積んでおいたから簡易シャワーなら使えるよ」
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