ラブ・ジェネレーション

海岸線に不釣り合いに建つリゾートホテル、その屋上のヘリポートに私たちが乗ったヘリはソフトランディングした、屋上には正装をしたホテルマンが2人深々とお辞儀をして出迎えてくれる。

ヘリの爆風から私を守るように肩を抱いて、翔琉は小走りでペントハウスに走り寄った。

「最上階のロイヤルスイートをご用意しております、こちらの入り口からそのままどうぞ」

どうも部屋と直結しているらしい、最上階というのだから当然か、
1人のホテルマンは荷物を取りにヘリへ、もう1人が建物の中へと案内してくれた。
防火扉が閉まると一瞬で嵐が過ぎ去ったように静寂が訪れ別世界が拡がった。
階段を降りて部屋の入り口へ、
ホテルマンは一通りの説明を終えると、何か御用があればフロントへ電話をと言って出ていった。

リビングに入ると

「わー、すごーい、海が一面に見えるよ」

翔琉は私の躰を力強い腕で後ろから包み込んで小声で耳元に囁いた、
「……やっと結衣を俺のものできた」

「えっ、随分前に籍を入れたじゃない、今までそう思わなかったの?」

「ずっと不安だったんだ、この手の中にいても何処かに行ってしまいそうで」

再会した夜、翔琉が弾き語りで歌ってくれた“片想い”を思い出していた、自分に自信が持てなかったあの頃、
不釣り合いなカップルに見られていた学生時代、人の視線が気になっていつも後ろめたさを感じていた。

そんな気持ちが、自然と私の態度や仕草に表れていたのだろうか、
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