ラブ・ジェネレーション
空港への帰り道、小さな水族館に立ち寄った、
チェックアウトの際にホテルのフロント係が無料券をくれたからだ、
「結衣、あれ見てよ」
翔琉の視線を追いかけて目を向けると、高校生らしきカップルが顔を寄せて小さな水槽を覗き込んでいた、
「地元の子かな、なんか初々しいね、私たちも最初はあんな感じだったのかなー」
手の繋ぎ方がぎこちない、恥ずかしそうに二、三本の指を浅く絡めているだけだ。
女の子は俯いて遠慮がちに男の子についていく、彼女の気持ちを想像して私までキュンキュンしてしまう。
「翔琉は強引だったからちょっと違うか」
「俺も一応遠慮してましたけど」
「あれで? いつも振り回されていた気がするけどなー」
「行動はそうかも知れないけど、結衣に触れる時は優しくしていただろ」
………そうだった、抱きしめ方はすごく優しかったね、
「あっ、あの子! 翔琉ちょっと待ってて」
「どうしたんだ急に」
「あのー」
急に知らない人に声をかけられ、二人とも悪いことでもしているような顔を見せた、
「すみません、お手洗い何処か知ってますか?」
女の子は少し驚いた表情で答えてくれた、
「確か、入り口の近くにありましたけど」
「彼女ごめん、探してたら漏れそうなの助けて」
強引に女の子の手を引いてトイレに向かった、
「あ、あのー、、」
「恥ずかしくて言い出せないよね」
「えっ、どうして、、」
「様子を見てたら分かるよ、せっかくのデートなのに我慢してたらいい思い出にならないでしょ」