【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 ともに入浴を終え、就寝できる状態になる頃には、日付変更も近づいていた。
 もちろん、入浴は別々だ。
 二人一緒にシュトラウスのベッドに乗りあげ、身を寄せ合う。
 色々なことがあった一日だが、そんな日の最後をこうして二人で迎えられることは、両者にとって幸福なことだった。
 シュトラウスの足のあいだにフレデリカが座り、シュトラウスは彼女を後ろから抱き込んだ。
 しばらくそうして話していた二人であったが、ふと、フレデリカが向きを変え、シュトラウスの胸に手をおいた。

「ねえ、シュウ?」
「なんだい、フリッカ」
「……キス、して?」
「……仰せのままに」

 フレデリカを抱き寄せたシュトラウスは、額、髪とキスを落としていき、だんだんと下がっていく。
 彼女の顎に手をおくと、唇に、触れるだけの口づけを。
 軽く触れただけだというのに、フレデリカはぽうっとし、うっとりと瞳をとろけさせる。

「シュウ……」

 そっとシュトラウスの胸に身体を預けた彼女は、いたく満足げだった。
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