【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
フレデリカがシュトラウスの離れに泊まることが多いが、シュトラウスがフレデリカの部屋へ行くこともあった。
全てを把握されているわけではないものの、二人が親密な関係になったことは、近しい者はみなわかっていただろう。
当然、フレデリカの父――国王・フレデリックも、最近の彼らの仲睦まじさは把握していた。
「……少し寂しいが、そろそろ、か」
王の私室にて。フレデリックはため息交じりにそう呟くと、手紙をしたためた。
***
「シリウスが?」
「ああ。近々、父上がこちらに来るそうだ。フレデリック様と話すことがあるから、俺も同席するようにと」
ある日の昼下がり。
フレデリカは、休憩に入ったシュトラウスの執務室で、お茶をしながら談笑していた。
互いに立場のある身だから、両者、相手の仕事の邪魔はしないようにしている。
けれど、空き時間にお茶をするぐらいは自然なものとなってきた。
気を遣ってくれたようで、彼の部下のブラームは「外の空気を吸ってくる」と席を外している。
「シュウがいるのに、わざわざシリウスを呼ぶなんて……。きっと大事な話ね」
シュトラウスも同意する。
シリウスはシュトラウスの父で、ストレザン公爵家の現当主。
シュトラウスと同じ漆黒の髪と瞳の持ち主で、威厳たっぷりの男だ。
多くの貴族を束ね、広大な領地を治めているシリウスが、ストレザン領を離れることは少ない。
第二の王家、とまで言われる家の当主を務めるシリウスを呼びつけることができる人間など、国王ぐらいのものだ。
今は息子のシュトラウスが王都とのパイプ役を担っているため、彼はストレザン領の統治に専念していた。
そんな彼がわざわざ王都に来るなんて、相当に大事な用があるに違いない。
フレデリカもシュトラウスも、そう感じていた。
全てを把握されているわけではないものの、二人が親密な関係になったことは、近しい者はみなわかっていただろう。
当然、フレデリカの父――国王・フレデリックも、最近の彼らの仲睦まじさは把握していた。
「……少し寂しいが、そろそろ、か」
王の私室にて。フレデリックはため息交じりにそう呟くと、手紙をしたためた。
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「シリウスが?」
「ああ。近々、父上がこちらに来るそうだ。フレデリック様と話すことがあるから、俺も同席するようにと」
ある日の昼下がり。
フレデリカは、休憩に入ったシュトラウスの執務室で、お茶をしながら談笑していた。
互いに立場のある身だから、両者、相手の仕事の邪魔はしないようにしている。
けれど、空き時間にお茶をするぐらいは自然なものとなってきた。
気を遣ってくれたようで、彼の部下のブラームは「外の空気を吸ってくる」と席を外している。
「シュウがいるのに、わざわざシリウスを呼ぶなんて……。きっと大事な話ね」
シュトラウスも同意する。
シリウスはシュトラウスの父で、ストレザン公爵家の現当主。
シュトラウスと同じ漆黒の髪と瞳の持ち主で、威厳たっぷりの男だ。
多くの貴族を束ね、広大な領地を治めているシリウスが、ストレザン領を離れることは少ない。
第二の王家、とまで言われる家の当主を務めるシリウスを呼びつけることができる人間など、国王ぐらいのものだ。
今は息子のシュトラウスが王都とのパイプ役を担っているため、彼はストレザン領の統治に専念していた。
そんな彼がわざわざ王都に来るなんて、相当に大事な用があるに違いない。
フレデリカもシュトラウスも、そう感じていた。