【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 それぞれ父親・叔父モードになり、シュトラウスとアルフレドが身重の身体を心配する声を聞き流しながら、フレデリカは、ルーナと談笑していた。
 しかし、男たちは「それは大丈夫なのか」「グラス持てる?」とおろおろしており、とまりそうにない。
 フレデリカは、そんな夫と弟の姿に、呆れたようなため息をついた。

「もう。シュウ、アル? 過保護すぎ」
「ここまでだと、逆にフリッカの負担になっちゃうと思うわ」

 男たちは、女性二人の意見にぐっと言葉を詰まらせた。

「そうだ、今度、マタニティドレスを作ってもらうことになってるの。よかったら、ルーナも一緒に選んでくれない?」
「まあ! いいの? ぜひご一緒させてもらうわ~!」
「フリッカ……? 俺は誘われてないんだが……」

 ショックを受けたような、シュトラウスの声。
 親友は誘われたのに、夫の自分は呼ばれていないことに傷ついたようだ。
 そんな彼の姿に、フレデリカは慌てる。

「ご、ごめんなさい。その日、王城にいないって聞いてたから……」
「今からでも調整して休みをもぎとる。なんとしてもだ」
「部下を困らせる気か。ルーナに任せてお前は働け」
「……ご自身が同じ立場になったときも、そう言えますか。アルフレド様」
「……!」

 男同士でわかり合い、シュトラウスの休みをもぎとるために結託しかけたとき。

「二人とも。次の機会もあるんだから、無理しないで?」

 次はあなたの予定も見て決めるから、と、フレデリカがその場を収めた。
 王城の一室では、今日も、穏やかな時間が流れている。
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