【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 フレデリカは、リエルタ王国の第一王女で、現国王の第一子でもある。
 にも関わらず、王城内での彼女の立場は低かった。
 彼女は、側妃の子なのだ。
 国王と妃のあいだになかなか子ができず、側妃をとった。
 側妃は早くに懐妊し、王女であるフレデリカが誕生。
 第一子の誕生は大いに歓迎されたが、直後に正妃が子を宿し、男の子を生んでから雲行きが変わった。
 数年後には、正妃からもう一人。そちらも男児であった。

 この国では、王になれるのは男児のみ。
 フレデリカはこの国の第一王女であるが、王位継承権はなく、正妃の子でもない。
 国王と正妃のあいだに二人の男児が誕生してからは、フレデリカの立場は危ういものとなった。

 側妃もその娘も必要なかったのではないか。
 権力争いにならないのだから、男の子じゃなかっただけいい。
 フレデリカ様には、別の国に嫁いでもらえばいい。

 表立っては言わないが、貴族も国民も、側妃から生まれた第一王女について、そんな風に話していた。
 当然、その手の話は国王や妃たちの耳にも入っており、彼らは頭を悩ませた。
 複雑な立ち位置ではあるが、フレデリカは家族に愛された姫君だったのだ。

 このままでは、フレデリカは不要な王女として、蔑ろにされてしまう。
 政略結婚の道具とされて、争いの種になる可能性も高い。
 そこで、まだ幼いフレデリカを守るための婚約話が浮上した。
 力のある者と早くに婚約させてしまえば、フレデリカの身に降りかかる危険を、少しでも減らすことができると考えたのだ。

 フレデリカを守る盾として白羽の矢が立ったのは、王家に次ぐ力を持つ公爵家の嫡男、シュトラウス・ストレザン。
 年はフレデリカより7つ上だが、事情を考えればいくらか年上の方が都合もよかった。
 すぐに話がまとまり、二人は正式に婚約者となった。
 以降、フレデリカへの風当たりはずいぶんマシなものになり、シュトラウスもフレデリカを可愛がってくれたものだから、王と妃たちは安心したものだった。
< 3 / 183 >

この作品をシェア

pagetop