【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 仲良し大作戦を始めるなんていうお節介をしたせいで、フレデリカを傷つけてしまったのかもしれない。
 もしもフレデリカとシュトラウスが、このまま仲違いしてしまうようなことがあったら。
 それはきっと、二人が今まで保ってきた均衡を崩したルーナのせいだ。

「私があんなことを言わなければ、フリッカは笑っていられたのかしら」
「ルーナ……」

 フレデリカの明るく可愛らしい笑顔が。しょんぼりとしてテーブルに突っ伏す、王女とは思えない姿が。
 ルーナの心に浮かんでいた。
 また、ああしてシュトラウスの話を聞かせて欲しい。
 嬉しそうにしていたと思ったら、急にしょんぼりしだして、突っ伏して。
 くるくると変わる表情と行動が、可愛くて、可笑しくて。
 あの時間が、ルーナは大好きだった。

「……これはあくまで二人の問題だ。きみのせいじゃない」
「……」

 そう慰められても、ルーナの心は晴れなかった。
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