【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 それからさほど経たずして、王城で夜会が開かれた。
 国王の主催する、国でも1番といっていいほどに格式高い場だ。
 参加者は、フレデリカも含む王族に、有力な貴族に、交流のある他国貴族。
 この日のために一時帰国した、第二王子のディルクもいる。
 ルーナの故郷であるハリバロフ王国からの参加者も多い。


 ルーナは留学生としてこの場に立つが、王族の交換留学でやってくるのは、王子か王女の一人のみではない。
 世話役として、使用人を数名。それから、高位貴族も何人か同行させることができる。
 今回の夜会には、ルーナとともに留学に来たハリバロフの若手貴族も参加していた。
 その中に、遅れてリエルタにやってきた女性が一人。
 留学を希望し、国とルーナの許可も得ていたのだが、家の事情でリエルタ入りが遅れたのだ。
 第二王子ディルクの一時帰国に合わせてやってきたため、まだ正式な顔見せも済んでいない。


 夜会にて、最初こそ婚約者として並んでいたフレデリカとシュトラウスであったが、会も中盤に差し掛かるころには、それぞれの役割のために離れた。
 フレデリカは王女として。シュトラウスは、ストレザン公爵家の次期当主として。
 話すべき相手、すべき対応などが、少々異なるのだ。
 ストレザン公爵家の領地はハリバロフに隣接しているため、ここでは主にハリバロフ王国の者との会話の機会を作っているようだった。

 互いの仕事のためとはいえ、シュトラウスが自分のそばを離れたことに、フレデリカは少しほっとしていた。
 妹発言を聞いてしまったあの日から、フレデリカはシュトラウスを避けていた。
 それまで自分から彼に近づいていたこととの落差もあり、シュトラウスが隣にいる状況が気まずくて仕方がなかったのだ。
 自国の高位貴族や他国の者に対応してはいるものの、少し肩の力が抜けた。
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