【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
 この日、再び王城のホールで夜会が開かれた。
 ハリバロフとの交換留学が行われているあいだは、国同士の親交を深めるため、王城でのイベント開催頻度が高まる。
 今日は10代20代の若手貴族のみが集められた、王城開催のものとしては小規模かつ、ややカジュアルな会だった。

 今回は、共に婚約者のいないアルフレドがルーナをエスコートして参加したものだから、会場は第一王子と隣国の姫の組み合わせに釘付けになっていた。
 赤みがかった茶髪の王子と、青い髪の姫という、正反対のようにも思える色を持つ彼らは、互いが互いをより映えさせていた。
 仲もよさげで、まさかのビッグカップル誕生かとみな色めきだっている。

 そんな弟と親友を、フレデリカは少し離れた場所から見守っていた。

――いいなあ。

 楽しそうに過ごす二人を見て、そんな風に思ってしまう。
 アルフレドなど、姉のフレデリカには見せない慈しみの目線をルーナに向けている。
 フレデリカももちろん、婚約者――シュトラウスとともに参加しているが、彼を想うことを諦めたフレデリカにとって、彼の隣はもう、居心地のいい場所ではない。
 
 最初はみなそれぞれのパートナーと並んでいるが、徐々に別れていき、家同士の関係が強い者や交流を深めたい相手に近づいていく。
 フレデリカも、タイミングを見計らってシュトラウスから離れた。
 一人になった途端に多くの人に囲まれたときは驚いたものだが、ここ最近、フレデリカのほうから色々な人に話しかけているから、近づきやすいイメージになったようだった。
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