【電子書籍化】婚約13年目ですが、いまだに愛されていません~愛されたい王女と愛さないように必死な次期公爵~
「彼女のこんな姿を見ても、そう思うのか?」
「お前が来たからだ! お前が来たからフレデリカ様が困っているんだ! お前が! お前があ!」
「いい加減に……」
「私がフレデリカ様をお救いするんだ! 王侯貴族の婚約など飛び越えて! 真に愛し合う私たちが! 一緒になって! 私が! 私たちが! そうですよね、フレデリカ様、フレデリカさま、ふれでりかさまああああああ!」
「……!?」
男の様子は、もう、普通ではなかった。
絶叫じみた声に、同性のシュトラウスですら怯みそうになる。
それでも、自分の後ろにフレデリカを隠し、彼女の盾となることは忘れなかった。
男の叫びは賑やかなホールにまで届き、会場をざわつかせる。
「おい、どうした! なにがあった!」
そう言って、場に飛び込んできたのは異変に気が付いたブラームだ。
「ブラーム、人を呼んでこいつを連れて行け! この男はフリッカに危害を加えた!」
「危害ぃ!? 私はフレデリカ様と愛を確かめ合っただけで……!」
わめく男。怯えるフレデリカ。その間に立ち、盾となるシュトラウス。
大体の状況を把握したブラームは、衛兵を呼んで男を連行させた。
応援が来るまでのあいだ、男を逃さないよう取り押さえていたのはシュトラウスだ。
連行されながらも「私たちは真の愛を見つけた」「フレデリカ様をお救いするのだ」と叫び続ける姿は、異様なものだった。
男の声が聞こえなくなった頃、シュトラウスがフレデリカの両肩に手を置き、努めて優しく声をかける。
「……フリッカ、大丈夫か?」
フレデリカからの返事はない。代わりに、彼女の青い瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれはじめた。
あんな目に遭ったのだ。大丈夫なはずがない。
言葉すら紡げずに涙を流す姿に、シュトラウスは、思わず彼女を抱きしめた。
「フリッカ。もう大丈夫。大丈夫だから」
落ち着かせるように彼女の頭に手をおき、ぐっと抱き込んだ。
その温もりに安心したのか、フレデリカもまた、シュトラウスに身体を預け、せきを切ったように泣き始める。
「……シュウ。こ、わ、かった。シュウ……!」
自分の胸で泣き続けるフレデリカを、シュトラウスは、彼女が落ちつくまで受け止め続けた。
「お前が来たからだ! お前が来たからフレデリカ様が困っているんだ! お前が! お前があ!」
「いい加減に……」
「私がフレデリカ様をお救いするんだ! 王侯貴族の婚約など飛び越えて! 真に愛し合う私たちが! 一緒になって! 私が! 私たちが! そうですよね、フレデリカ様、フレデリカさま、ふれでりかさまああああああ!」
「……!?」
男の様子は、もう、普通ではなかった。
絶叫じみた声に、同性のシュトラウスですら怯みそうになる。
それでも、自分の後ろにフレデリカを隠し、彼女の盾となることは忘れなかった。
男の叫びは賑やかなホールにまで届き、会場をざわつかせる。
「おい、どうした! なにがあった!」
そう言って、場に飛び込んできたのは異変に気が付いたブラームだ。
「ブラーム、人を呼んでこいつを連れて行け! この男はフリッカに危害を加えた!」
「危害ぃ!? 私はフレデリカ様と愛を確かめ合っただけで……!」
わめく男。怯えるフレデリカ。その間に立ち、盾となるシュトラウス。
大体の状況を把握したブラームは、衛兵を呼んで男を連行させた。
応援が来るまでのあいだ、男を逃さないよう取り押さえていたのはシュトラウスだ。
連行されながらも「私たちは真の愛を見つけた」「フレデリカ様をお救いするのだ」と叫び続ける姿は、異様なものだった。
男の声が聞こえなくなった頃、シュトラウスがフレデリカの両肩に手を置き、努めて優しく声をかける。
「……フリッカ、大丈夫か?」
フレデリカからの返事はない。代わりに、彼女の青い瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれはじめた。
あんな目に遭ったのだ。大丈夫なはずがない。
言葉すら紡げずに涙を流す姿に、シュトラウスは、思わず彼女を抱きしめた。
「フリッカ。もう大丈夫。大丈夫だから」
落ち着かせるように彼女の頭に手をおき、ぐっと抱き込んだ。
その温もりに安心したのか、フレデリカもまた、シュトラウスに身体を預け、せきを切ったように泣き始める。
「……シュウ。こ、わ、かった。シュウ……!」
自分の胸で泣き続けるフレデリカを、シュトラウスは、彼女が落ちつくまで受け止め続けた。