怖い部屋-やってはいけないことリスト-
若菜の前でこんな不穏な話をするべきじゃない。
話題を変えようとした時、良子が深い溜め息を吐き出した。


「なにもできないくせに、できる、やれるとか簡単に言わないでよ」

「そんなっ」


それは聞き逃すことはできなかった。
確かに純は家事が苦手だったけれど、それでも頑張ろうと本気で思っていた。
その分、姉にも仕事方面で頑張ってもらおうと。


「口先だけなのよね、純っていつも」


呆れた声色。
見下したような視線。
その瞬間純の中で何かが切れる音がした。

プツンッと。
若菜が3歳になったときから姉には働きに出てほしいと思っていた。
それから3年間、我慢してきた。

それをなんだと思ってるんだろう。
自分は働いてないくせに……!

働いている人、家事をしている人。
どちらが偉いなんてことはない。
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