怖い部屋-やってはいけないことリスト-
もはや得体のしれない茶色い柔らかなものにしか見えなくて、和也はしかめっ面をする。
亜希はそんなこと気にせず、独特のごぼうプリンをスプーンですくって一口口に入れた。

その瞬間ごぼうの香りが口全体に広がる。
だけど噛めば柔らかく、その触感は完全にプリンだった。
ごぼうなのかプリンなのか、頭が混乱してくる。


「でも、うん、美味しいよ!」


ゴクリと飲み込んでみると次のひとくちが欲しくなってくる味だ。


「へぇ……」


和也はすでに興味を失ったのか、本棚へ移動している。
さっきまではテレビを見ていたのだけれど、山が近いせいか選局が少なくて、消してしまった。
そういうこともあって、他の娯楽をふんだんに用意しているのかもしれない。


「なんだこれ?」


本の背表紙を見つめていた和也が、本と本の隙間から白い紙が飛び出しているのを見つけて、手を伸ばした。
引き抜いてみると、それは大学ノートの切れ端を半分に折り曲げたものだとわかった。
開いてみると『この部屋でやってはいけないことリスト』と大きな文字で書かれている。
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