怖い部屋-やってはいけないことリスト-
亜希はそう言うと、部屋に備え付けられている電話の受話器を手にとった。
これは内線だけで使用するタイプのものだから、『1』のボタンを押すとすぐに管理室に繋がるようになっている。


『はい、こちら管理室です。どうしましたか?』


すぐにおじさんの声が聞こえてきた。


「あの、根本です」

『あぁ、君たちか。どうしたんだい?』

「えっと、リビングにある鏡なんですけど、なんだかちょっと怖いので、移動してもいいですか?」


聞くとしばらく沈黙がおりてきた。


『怖い?』

「あ、えーっと、その、布の色が赤色で、だから」


気分を悪くさせてしまっただろうかと焦り、しどろもどろになってしまう。


『あぁ、なるほど! それなら倉庫に移動させてもかまわないよ』

「いいんですか?」

『もちろん。悪いけど、僕はこれからちょっと用事があって出かけなきゃいけないんだ。倉庫への移動は自分たちでしてくれるかい?』


リビングから鏡がなくなるのなら、とりあえずそれでいい。


「わかりました」


亜希はそう答えて、電話を切ったのだった。
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