怖い部屋-やってはいけないことリスト-
☆☆☆

管理室から出ると雪は更に深く積もっていた。


「雪って気が付かない間に積もっていくんだね」


ザクザクと雪を踏みしめながら歩く。


「だから怖いんだろうなぁ」


時々テレビで大雪の映像を見る度に、どうしてこうなる前に逃げなかったんだろうと感じていた。
雪は音もなく忍び寄ってくる怪物みたいなものだ。

一見綺麗で触れてみたくなるけれど、降り積もり続ければ人間の生活が危険にさらされる。
適度の雪なら、きっと楽しいのだろうけれど。

亜希は空を見上げた。
雪は空を埋め尽くすように振り続けている。
長靴の隙間から入り込んで来た雪は指先を凍らせてしまうくらいに冷たかった。
< 44 / 126 >

この作品をシェア

pagetop