怖い部屋-やってはいけないことリスト-
☆☆☆

街のデパートでの買い物は簡単な医薬品だった。
もしも風邪をひいたら、もしもお腹が痛くなったら。
そう思って次々薬を手に取る和也を見ておじさんが驚いたように目を丸くした。


「それくらいの薬なら、コテージにも準備があるよ」

「あ、そうなんですか?」


不安の払拭するように次から次へと薬を見ていた和也が恥ずかしげにうつむく。


「もちろんだよ。絆創膏も包帯もある。もっと大きい病気や怪我をしたときには対応できなくなるけれど、救急車くらいは呼べるよ」

「そ、そうですよね」


頷いて棚に薬を戻していく。


「売店にはお菓子とかも置いてありますか?」


亜希の方はさっきからチョコレートやスナック菓子のコーナーから動こうとしない。


「もちろん。お菓子やカップラーメン、おにぎりにパンくらいならあるよ」


おじさんはそう言ったけれど、結局亜希は好きなお菓子を何種類か購入していた。


「亜希ちゃんはお菓子が好きなんだな」


車で再出発した車内で、おじさんが明るい声をかけてくる。


「はい。ご飯よりお菓子が好きなので、よく怒られてます」


一方の和也はお菓子よりもご飯のほうが好きで、よく食べた。
双子と言っても似ているのは顔つきだけで、二卵性双生児の双子は中学生にもなるとどんどん違う見た目になっていく。
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