怖い部屋-やってはいけないことリスト-
和也に手を貸してもらいながらよろよろと立ち上がり、ソファに座る。
この部屋で見るのは小さな女の子の姿ばかりだ。


「さっきの女の子、見た?」

「うん。夜には声も聞いた。唸ってるような泣いてるような声だった」

「それも、女の子の声だった?」


和也は頷く。
この部屋にはまちがいなくさっきの少女がいるみたいだ。
だけど完全には姿を見せない。

和也は床に落ちた御札をきちんと布の上に貼り付けた。
今度は落ちてしまわないように気をつける。
それでも霊の存在が強ければ、意味がないのだけれど。


「雪、止まないな」


窓の外の雪は降り続けていて、もうふたりの膝くらいの高さまで積もっている。
窓の近くにいると寒さで震えてしまいそうだ。

これじゃ売店や管理人室へ行くのも大変だ。
音楽室のときみたいに閉じ込められたわけじゃないけれど、物理的に難しくなってきている。

ぼんやりと外の景色を眺めていたときだった。
キッチンの方からゴトゴトと物音がして二人同時に視線を向けた。
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