怖い部屋-やってはいけないことリスト-
シンクの上には置きっぱなしにしていた包丁がある。
その包丁がまるで生き物のようにシンクの上で跳ねているのだ。

ゴトッゴトッ。
包丁が飛び跳ねる度に、包丁についた血のような汚れが飛び散る。


「ひぃっ!」


和也は思わず飛び上がって部屋の隅へと逃げていた。


「な、なにあれ」


亜希も青ざめて和也に近づき、手を握り合う。
今までも何度となくポルターガイストに遭遇してきたけれど、動く包丁と出会ったのはこれが初めてだった。

包丁はその場で何度か飛び跳ねると、静かになった。
テレビの音だけがやけに軽快に聞こえてくる中、ふたりはそっと包丁へ近づく。

あの包丁もなにかいわくつきのものなのだろう。
それなら早く封印してしまう必要がある。

そう、思ったのだけれど……。
ふたりの存在に気がついたように包丁がまた飛び跳ね始めたのだ。

さっきよりも激しく、自身の体をシンクに打ち付け続ける。


「ダメだ、近づけない」
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