怖い部屋-やってはいけないことリスト-
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コテージへ戻ってストーブの前で体を温めながらスマホをチェックしてみると、さっき連絡を取った女子大生から返事が来ていた。
『ごめんなさい。あのコテージの過去についてはなにも知らないの。調べてみようとも思わなかった。早く忘れたいの。本当にごめんなさい』
その文面を見てふたりは落胆のため息を吐き出した。
ここで怪現象を経験した女子大生さんはもうここでの出来事を忘れてしまいたいらしい。
だから、コテージの過去を掘り下げて調べるようなこともしなかったんだろう。
考えてみればそれも当然のことだった。
早く忘れたいことをいちいち何度も思い出す行為はしないだろう。
でも、これでコテージの過去について調べる道は絶たれてしまったことになる。
「どうしよう。これじゃなにもわからないままだよ」
亜希が泣きそうな顔になっていると、また床下収納からゴトゴトと包丁が暴れる音が聞こえてきた。
このままなにもできない状態が続けば、きっと封印も破られてしまうだろう。
和也はダメ元で透子に連絡を入れてみることにした。
都合が悪くなったらすぐに電話を切る透子だから出てくれないかと思ったが、以外にもすぐに電話は通じた。
『和也くん? ごめんね、電車まだ動いてなくて。あ、でも臨時でバスが出たから、今そっちに乗り換えたところなんだ』