幼なじみと恋をするには

 学校にいる間も、柊は普段とまるで変わらなかった。時たま私の席にやって来ては、「さっきの授業寝てたからノート貸して」と言ってきたり、「購買行ったら、桜の好きそうなお菓子売ってた」と言って、秋冬限定のお菓子を買ってきたりと、平常運転であった。


「ふむ…」


 昼休み。柊から貰ったお菓子をもぐもぐと食べながら、私は柊を観察する。いつも通りクラスの男子達とお昼ご飯を食べているようだ。


 私とお昼ご飯を一緒に食べていた友人のみおちんとゆきのんは、そんな私の様子を訝しそうに見ていた。


「桜ちゃん、さっきから何を見てるの?」


「桜、如月となんかあった?」


 ゆきのんにずばり柊を見ていることを見破られてしまい、私は慌てて意識を二人に戻す。口の中いっぱいに頬張っていたお菓子を飲み込み、いたって平静を装う。


「べ、べ、別に?なにも?」


 全然平静を装えていなかった。口ごもってしまったし、最後は声も上擦ってしまった。ゆきのんは呆れたような顔をしているし、みおちんは不思議そうに私を見ていた。


 ひとまず、しばらくは経過観察だ。何かあったら、すぐさま二人に相談しよう!


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