閉店してからやって来る、お菓子の好きな騎士さんは
04.
そんな穏やかなお付き合いが続いたある日のことです。
「君は……演劇とか、その、見に行ったりするのかな」
騎士さんは出し抜けにそんなことを私に尋ねられました。
「はい?」
「いや、実をいうとチケットを二枚もらったんだ。けど、譲るような知り合いもいないし……もし、よければなんだが……お、俺といっしょに、観に行くのは、ど、どうかなと思って」
そう言って、彼はふところから二枚の券を取り出します。
「嫌ならいいんだ。無理にとは言わない。ただ、その、日頃世話になっている礼にと……。まあ、なるかどうかは、わからないんだが」
普段よりもうわずった声で、ためらいがちに言われました。
そして、そのとき私は気付きました。
凛々しい男の方がそうやって恥じらう姿、自分的にすっごくグッとくるポイントですっっ!
ああっ、ごめんなさい。引かないで!