閉店してからやって来る、お菓子の好きな騎士さんは
「だ、だって、男の方が甘いもの好きって知られるの、普通は嫌なんじゃないんですか? 冷やかされたりすると……」
「全然気にしないぞ。第一、うちの騎士団でそんな下らないことを言うヤツなんていない」
「で、でも、いつも閉店後にいらしてたじゃないですか」
「仕事帰りに寄るしかないから、あの時間になってしまうだけなんだが。……まさか、君はずっと俺が外聞を気にしてるとでも思ってたのか?」
「最初にクッキーを買ったときに贈呈用って言ったのに、それを食べておいしかったって言ってましたし……」
「仕事の相手方が『いっしょに食べよう』って分けてくれたんだよ。別に嘘ついて買ったわけじゃない」
「つ、次に来た時にケーキのウィンドウの方をちらちら見てたのは……」
「あれは君と目を合わせるのが恥ずかしかっただけだ。下心があると思われたくないから、顔をそらしてたのがウィンドウの方だったってだけ……って、何を言わせるんだよ」