閉店してからやって来る、お菓子の好きな騎士さんは
「え……。えぇえええーっ!?」
ああ、なんということでしょう。
あれもこれも、すべては私の思い違い。ただの早とちりだったのです。
けれど、考えてみれば当たり前のことでした。
お付き合いを始める前も、始めてからも、彼がお菓子を食べることで人目を気にする様子なんて、実際まるでありませんでしたから。
ためらいがちだったのは、むしろ私個人に対して。
私目当てに何回も店に来たと思われて、嫌われたくなかったんだそうです。
「ぶっちゃけ、君が席を用意してくれたのは、“そういう意味”で心を許してくれたからだと思ってたんだが……。違ってたんだな。す、すまない」
彼は顔を赤くして額に手をやりました。