閉店してからやって来る、お菓子の好きな騎士さんは

 でも、この間、一人騎士団の方がいらっしゃったんです。

 西日が赤くなってくる、閉店間際の時間帯でした。
 あ、正確には閉店時間を過ぎてからです。

 その日はすごく忙しくて、私、疲れてカウンターに突っ伏して寝ちゃってたんです、夕方過ぎに。
 本当は閉店の看板を出さないといけないんですけど、それもそのままにしちゃってて。

 そうやって眠りこけている時に、騎士さんがお店にやってきたんです。



「……すまない。このクッキーを一箱分もらいたいのだが」

「ふぇっ、ひゃいっ!」

 私、寝ぼけてて、変な声出しちゃって。
 あの時は穴があったら入りたいくらいで。ほんと、恥ずかしかったです。
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