幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


* * *

――side.鏡花


 勝負が決まった直後、那桜は倒れた。
 急いで那桜の元に駆け寄る。


「那桜!!しっかりしてっ!!」


 触ってみると、ものすごい高熱だ。肩で息をして苦しそうな那桜は、完全に危ない状況かもしれない。


「すごい熱……!」


 こんな体で戦ってたなんて無茶すぎる!


「誰か病院に連れて行って!!」

「だいじょうぶ……」

「那桜!?」

「へーき、ですから……家に」

「何言ってんの!?絶対病院に行かなきゃダメだよ!」

「お願いですから、家に帰らせてください……」


 こんなに苦しそうなのに、何言ってるの!
 だけど那桜は帰るの一点張りで、仕方なく病院ではなく染井一家に連れて行くことにした。


「私は那桜に付き添うから、悠生もちゃんと手当てするんだよ!」

「……」


 悠生は何も言わなかった。色々思うことがあるんだと思う。
 今はそっとしておいてあげた方がいいよね――。


「お嬢、着きやしたぜ!」

「ありがとう!大丈夫、那桜?歩ける?」

「はい……」


 那桜は意識が朦朧としていたけど、かろうじて歩けていた。私は那桜の肩に腕を回し、支えながら染井邸まで連れて行く。


「なっ、若!?」


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