幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
ハッとして、目が覚めた。
気がついたそこは、自室だった。
「若、大丈夫ですか?」
「大山……」
「医者に来てもらって診てもらいました。怪我の手当もしてもらっています」
「そうか……」
「だいぶ無茶をされたようですね。こちらが薬と水です。飲んでください。起き上がれますか?」
「ああ」
何とか起き上がれたが、体の節々が痛い。頬にはデカいガーゼを当てられていた。
あの番犬、思いっきりやりやがって……。
「若、修行先は染井一家の横浜支部ではなかったのですか?」
「やっぱ変えたの言いそびれてた」
「だからといって何故桜花組なんです?」
大山は厳しい視線を向けてくる。
「よりにもよって何故桜花なんかに」
「俺の勝手だろ」
「染井一家の若頭が桜花組の野蛮人たちに顎で使われるなんて、他の組員たちに示しがつきませんよっ」
「うるせぇな……頭いてーから説教は後にしろよ」
「若っ」
大山に背を向けて寝転がった。まだ熱があるから頭がガンガンする。
大山はまだ言い募りたい雰囲気を感じたけど、「何かあればお呼びください」と言って部屋を出て行った。
「懐かしい夢みたな……」
静かになった部屋で、ぼうっと先程の夢を反芻する。