幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
2.絶対にあり得ない
「はぁっ!!」
気合いを入れ、掛け声と共に渾身の一撃で20枚もの瓦を全て真っ二つに。
ガラガラという割れた音と共に周囲から拍手が湧き起こる。
「お見事ですお嬢!」
「よっ!お嬢世界一!」
「流石ですわ、鏡花」
「――って、なんで八重がいるのよ!!」
桜花組の若い衆に混じり、のほほんと茶をしばく八重。ちなみに今は朝の6時だ。
「桜花組の家庭料理が食べたくなりましたの」
「ヘイ!八重姫の分もありますぜ!」
「ありがとうございます」
「自由か!!」
誰も八重がいることに驚かないどころか、当たり前のようにもてなしている。
「それに感謝してくださいませ。鏡花のこと迎えに来て差し上げましたのよ」
「え、なんで?」
「昨日のことで動揺して学校をサボるんじゃないかと思いまして」
「うぐっ」
このお姫様、おっとりしてるように見えてめちゃくちゃ鋭いんだよな……。
「そもそも鏡花が瓦割りをする時は何かに悩んでいる時でしょう」
「それは……」
「仕方ありませんわね。何しろなお……、」
「わーーーーー!!!!」
慌てて八重の口を塞ぐ。
すると、わらわらと若い衆たちが集まってきた。
「いかがしやした?」
「なんでもないっ!!八重が煎茶のおかわり欲しいって!!」
「承知しやした!」