幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。
八重姫のためなら京都から取り寄せた高級茶葉を!なんて盛り上がる若い衆がいなくなったのを確認し、はーーっと息を吐く。
「あいつらの前でやめてよ!!」
「あら、いけませんか?」
「ダメに決まってるでしょ!!」
那桜にプロポーズされたなんて言われたら、なんて言われるか……。
ナメやがって!って殴り込みに行くに決まってる!!桜花と染井が一触即発なんてことになったら……絶対にヤバい!!
全面戦争待ったなし!!
構成員たちも歪み合いが多く、顔を突き合わせただけで因縁付け合ってるのに……!!
それでも大事にならないのは、互いの組長である私のパパと那桜の父親が牽制し合っているから。
それくらい大変なことなのだ。
それなのに那桜のやつ……、私と結婚したいだなんて……。
「鏡花、顔が真っ赤ですわよ」
「うるさいっ!」
本当に何考えてるの……。
「――満咲家としては、桜花と染井が一緒になったら心強いと思いますわ」
「はあ!?本気で言ってるの!?」
今日の朝食は五穀米にあさりの味噌汁、それからブリの照り焼きだ。
八重はすまし顔で味噌汁をすする。
「うちの父がたまに申しておりますの。両家が協力関係になればこれほど強いことはないと」
「いやいやないから!染井と手を組むなんてあり得ない!」