幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


 自宅へ上手く忍び込み(何故自宅なのに忍び込まなきゃいけないのか不明だが)、俺の自室へと入ることができた。

 壁一面の本棚はリフォームせずそのまま残している。かなり広々としたスペースがあるのと、元から色んな本が所狭しと並んでいたため、面倒でそのままにしていた。
 もしかしたら、この中に――。


「あった……!」


 本棚の奥の奥にしまい込んであったのは、桜模様のかわいらしい表紙の日記帳だった。
 表紙には「染井美桜」と書かれている。

 他人の日記など勝手に読むものではないと思うが、心の中で詫びを入れてページをめくった。


「! これは……」


 次のページをめくった。
 そのまま日記を読み進め、ページをめくる手が止まらなくなっていた。

 その時、ガチャリとドアが開く音がした。

 夢中で読み耽ってしまい、自分が見つかってはいけないことを失念していた。

 やばい、と思った時にはもう遅かった――。



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