幼なじみのハイスペ若頭が結婚を諦めてくれません。


――side.鏡花


「悠生、そっち大丈夫?」

「大丈夫っすけど……お嬢、これ絶対バレるっすよ」

「だからあんたが見張ってなさいよ!!」

「そうなんすけど、無理あるってー」


 現在私は悠生に肩車してもらい、庭の塀をよじ登って脱出を試みている。
 何とか抜け出して、パパの元へ行くんだ。


「お嬢ーー!!何してんですかーー!!」

「あっ」


 ……ソッコーバレた。


「だから言ったじゃないっすか。無理あるって」

「だって……」


 連れ戻された私たちは出禁をくらい、二人で正座して反省中。

 ……なーんて、もちろん形だけの反省に決まってる。まだまだ諦めないんだからね。


「全く、お前というやつは……」

「パパ!」


 まだ会合だと思ってたのに、意外と帰って来るの早かった!!

 でもパパは私を一瞥(いちべつ)するだけで、スタスタと通り過ぎてしまう。私は負けじと追いかける。


「パパ!お願い、話を聞いて!」

「お前と話すことはない」

「どうして聞いてくれないの?」

「話すだけ時間の無駄だ」

「パパ!!」

「くだらん恋愛ごっこは終わりにするんだ」

「本当にそう思ってる?私の恋はくだらないって、本気でそう思うの?」


 パパの背中に向かって訴えた。


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